ステレオ歴史探訪(1)「宗像海人と海の正倉院」
「宗像」は「むなかた」と読みます。
4世紀、玄界灘に勢力を持ち、航海術に長けていたこの地域の一族が、
胸や肩に鱗模様の刺青をしていたことから(なんか、かっこいい!)
「胸肩海人(むなかたかいじん)」と呼ばれたことに由来するとも。
彼らは、この地域で独自の信仰を持っていましたが、
朝鮮半島の百済や中国大陸の魏、随、唐と海の交通の要所となり、
大和朝廷が、彼らの航海技術と合わせて彼らの信仰を重視したため、
次第に国家的な守護神として位置づけられるようになったのです。
宗像三女神(むなかたさんじょしん)と呼ばれる美人三姉妹は、
九州本土宗像市の辺津宮(へつみや)、11km沖の大島にある中津宮、
そして60km沖の沖ノ島にある沖津宮の三ヶ所に
それぞれ祀られています。
今日訪れた辺津宮に祀られているイチキシマヒメ命は、
ここから全国に広まるうち、仏教の弁才天(弁天様)と同神とされ、
先の台風で大変なことになった広島県の厳島神社のほか、
全国に八千五百社もチェーン神社を持つ一大勢力になっています。
古来からの交通の神であることから、
クルマのお祓い(普通車五千円也)が人気です。
九州では、ここのお祓い済みステッカーを貼っているクルマを
よく見かけます。
高宮 OptioS Stereo Cross-eyed viewing
本殿から少し歩くと、神さまが降臨した地と伝えられる
古代祭場があります。
ここには、社殿がなく、簡単な祭壇と、しめ縄を張っただけ。
その奥の日に照らされている樹のあたりが降臨の場所だとか。
ちょうど東京の神道を学ぶ某大学の方々が、見学に来ていました。
中津宮のある大島にはフェリーで簡単に行けるのですが、
その遙か沖の孤島、沖ノ島は、古墳時代から神の島とされ、
一般人は簡単には入れず、宗像大社の宮司が一人、
10日ずつ交代で住んでいます。
今でも、女人禁制、島内のものは一木一草たりとも持ち出さない、
島で見聞きしたことは口外しない等のタブーが守られています。
昭和の発掘調査で出土した銅鏡、勾玉、ガラス器などの奉献物は、
十数万点に及び、その殆どが国宝、重要文化財に指定され、
「海の正倉院」と呼ばれています。
沖ノ島で出土した宝物は、
現在、辺津宮に隣接する神宝館に展示されています。
建物が地味で、一見入り口がどこなのかさえ迷いますが、
本殿をおいても、こちらには行くべきです。(バチ当たりな)
陳列ケースにさりげなく並べられた品々のほとんどが、
国宝、国宝、国宝、たまに重文...。
三国志の時代、魏から贈られたとされる
「三角縁新獣鏡」が、その繊細な細工そのままに残ってる!
クルマのお祓いコーナーとは対照的に閑散としていたのが、
何とももったいない。
時間も空間も壮大で、しかも現在まで脈々と受け継がれている、
正真正銘の悠久の古代ロマンに浸ることができました。
参照
宗像大社ウェブサイト
大島村公式ホームページ
「日本の神様」がよくわかる本
以下おまけ。境内で撮ったステレオ写真
(本文中を含め、クリックしてポップアップ画像を交差法でご覧ください)
OptioS Stereo Cross-eyed viewing
OptioS Stereo Cross-eyed viewing
OptioS Stereo Cross-eyed viewing
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