ステレオ歴史探訪(4)「いにしえの神霊的防衛拠点と遠距離悲恋物語」
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前回の続き
名護屋城から北へ、岬の先端から呼子大橋を渡り、加部島の海岸に沿って走ると田島神社に着きます。
見たところは小さな漁港を守る地元の神社という風ですが、実はいにしえの国家防衛の拠点なのでした。
約1000年前、源頼光が寄進した鳥居
田島神社は国内でも最も古い神社の一つとされており、歴史探訪(1)で訪れた宗像大社の宗像三女神と同じ海の女神が田島三神として祀られています。
地図上で宗像大社のある3ヶ所(沖島、大島、宗像)、そして今回の田島神社の位置を見てみます。
古代九州王朝があったとされた福岡周辺やその後の大和朝廷太宰府の両翼に位置しています。
また、これも最古級の神社が多い壱岐・対馬を加えると、貿易や軍事の上で重要な玄界灘を取り囲んでこれを神霊的に鎮めることを意図したことがうかがえます。
境内には元寇の際、元の船のいかだとして使われた石が残っています。
先日亡くなった白石一郎の『玄界灘』という短編はこの辺りが舞台になっていて、1274年10月、壱岐を襲った元の大軍は、いよいよ九州本土を急襲。この半島の西側から上陸し、村々を壊滅状態にしていきます。
田島神社の境内にはいにしえの遠距離悲恋物語のヒロインを祀る佐與姫神社があります。
537年、新羅の任那侵攻に際し勅命を受けて朝鮮半島に派遣されることになった大伴連狭手彦(おおとものむらじさでひこ)は、出国の前にこの地に滞在、その間に長者の娘、佐與姫と恋仲となり、契りを交わした。
いよいよ出航となり、離れ離れになると、佐與姫は田島神社の前で夫の無事を祈り続け、悲しみのあまり息絶え、石になってしまった。
その石が祀られているのが、この神社。
OptioS Stereo Cross-eyed viewing (edited 800x533pix 225Kb)
佐與姫神社の横の門から階段を降りると、鳥居の先は海になっていました。
かつては大陸との貿易や軍事上、大きな役割を負わされ、航海守護の霊威を発揮していたこの神社の神様も、今では地元の漁師さんたちを静かに見守っているようです。
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