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2007/01/26

シュガーロード長崎街道(6)~西の起点出島とカステラの老舗

Dejima_mini

シュガーロードの起点長崎出島。

砂糖はオランダ貿易の主要な輸入品であると同時に、
オランダ船のバラストとしても利用された。
長崎に入港して砂糖が積み出された船には、
すぐさまバラスト兼輸出品の銅が積み込まれた。
ポルトガル交易時代、砂糖の前は、石灰がその役割を果たしていた。
長崎には本石灰町(もとしっくいまち)などという地名が名残として残っている。

Dejima_kura

出島にあった蔵の多くが、砂糖を貯蔵するために作られた。
出島に再現された砂糖蔵。
海に面した出島の蔵は、波風にさらされて砂糖が被害に合うことも多かったそうだ。

 

Fukusaya

このように長崎には原料としての砂糖が入ってきたわけだが、
同時に、それまで蒸すのが主流だった菓子作りに、
直火による焼き菓子の製法も導入された。
さらに元々産地であった北部九州の鶏卵が結びついて生まれたのがカステラ。

寛永元年(1624)創業の老舗中の老舗、福砂屋本店。
ポルトガル人直伝の手作りを踏襲している。
底のザラメの食感がたまらない。

Fukusaya2

福砂屋の商標、蝙蝠は中国では幸福を運んでくるといわれる。
「蝠」が「福」につながるから。
そして、それは「福砂屋」の「福」。
長崎の有名な唐寺崇福寺にすすめられたからだとか。
そういえば、そこの門にも蝙蝠の意匠があった。

Shououken

天和元年(1681)創業の松翁軒は老舗ながら、モダンな雰囲気。
当時としては珍しいチョコレートを使ったオリジナルカステラ
「チョコラーテ」が創り出されたのは、明治時代。
今の店舗は、2階が洒落たカフェレストランになっている。

Baijuken

天保元年(1830)創業の岩永梅寿軒は眼鏡橋の近くにある黒壁の渋い建物。
社長の岩永徳二氏は昨年のシュガーロードサミットにパネリストとして参加され、
地域のお菓子文化の発展に尽力されている。

Baijuken_nabe

なので、店先には、貴重な昔のカステラ窯が展示されている。
木炭をくべた丸窯の中に、カステラの材料の入った枠をいれ、
その上からこの大きなフライパンのようなものに木炭を入れたものを被せて、
上下から熱してカステラを焼いた。

Bunmeidou

「カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは文明堂」
有名なこのCMで全国展開した文明堂総本店は、
明治33年(1900)創業。
この商標は、大正3年(1914)、一般公募で選ばれた。

12/27追記
バックナンバーを読み返していたら、
長崎街道の反対の端、小倉常盤橋も起点と書いてしまっていた。
「長崎街道」としては、長崎は終点だが、
「シュガーロード」としては、長崎出島が起点といってよいのだろう。

シュガーロード長崎街道(5)起点小倉常盤橋と「鶴乃子」(2006/11/11)

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コメント

正月に松翁軒のカステラを頂戴していただきました。
包み紙が古地図で、お土産に好適。
味もサイコー。
底の生ザラ(ザラメ)砂糖は、福砂屋の方が多目かな。
福砂屋本店でカステラを注文すると、待ってる間に、
お茶とカステラのサービスがあったなあ。

あー、カステラたべたーい。

投稿: でぱいゆ | 2007/01/26 02:27

DA21mmは、こういう大き目の商店を写すのに画角がぴったりですね。

投稿: でぱいゆ | 2007/01/26 02:29

>でぱいゆさん
うちはカステラといえば福砂屋でしたが、
たまには他のお店のも食べてみないとね。
今回はカステラ食べくらべをしてみたかったのですが、
身軽に歩きたいということで、購入はしませんでした。
結局長崎駅のキオスクで「クルス」を土産に買って帰りました。
「クルス」のデザインが変わっていて、ビックリ。

DA21mm、DA40mmのPentax Styleは観光に最適!
これにDA70mmかFA77mmもあったらなぁ。

投稿: 二つ目草 | 2007/01/26 20:08

長崎に行かれたんですね。

私もさるくの期間中に2回も行ってしまいました。
出島はさるくのメイン拠点になっていたので、お芝居があったり
なかなか楽しめました。

カステラは小さい頃から当たり前のように食べてましたが、歴史
を考えると由緒正しいお菓子なんですよね。

福砂屋のカステラのざらめ、あれは最高です。(^^)

投稿: wanwanmaru | 2007/01/26 20:40

実は長崎大好きなので、よく行きます^^ 
ホテルはいつもワシントンホテル、ちゃんぽんはいつも江山楼、カステラは断然松翁軒派です(笑)
グラバー園に向う坂の途中にある、「祈りの丘絵本美術館」っていう可愛らしい絵本専門店が大好きなんですよ。なかなか雰囲気が良くて、何度行っても癒されます^^
長崎という街は、異国情緒とキリスト教が混じった独特の空気がありますよね。
甥っ子がもう少し大きくなったら、原爆資料館にも連れて行こうと思ってます。

投稿: そよ | 2007/01/27 00:22

長崎は母の出身地なので、
すごく親近感のある土地なんですよ。
福砂屋のカステラも、よく食べました。

もう何年も行っていないけど、
行ってみたい場所の一つです。

投稿: pogetaro | 2007/01/27 00:54

>wanwanmaruさん
さるく博の期間は過ぎていましたが、その名残で地図や看板が整備されていて、歩き...いや、さるきやすい街になっていました。
今回はカステラの老舗をチェックするという課題がありましたので、私としては珍しく事前に行程を計画し、MAP上にポイントを結ぶ一筆書きをした通りに歩きました。

>そよさん
おっ、そよさんは松翁軒派ですか。
「断然」ということはかなりお奨めということですね。
今度食べてみましょう。

「祈りの丘絵本美術館」はまだ行ったことがないので、子どもを連れて行こうかな。
原爆資料館もまだ小さい時に連れて行ったきりなので、また行かなければ。

>pogetaroさん
私の両親も長崎出身なので、ルーツが一緒ですね。
長崎の街も独特な雰囲気がありますが、長崎の人も穏やかな独特の雰囲気がありますね。
pogetaroさんのお母様もそうなのではないかと、その影響を受けているはずのpogetaroさんの人柄をみて想像しています。

pogetaroさんの「長崎を歩く」シリーズはぜひ見てみたいです!

投稿: 二つ目草 | 2007/01/27 06:43

こうもりの暖簾を調べておりました。
「蝙蝠は中国では幸福を運んでくる」
なるほど、そういうことだったんですね!

投稿: 老舗暖簾坊 | 2013/05/28 16:33

老舗暖簾坊さん

暖簾がご趣味とは、いいですね。
蝙蝠は日本では気味悪がられますが、音が福に通じることから、中国では縁起がいいのだそうです。
蝙蝠マークについては、こちらの記事もご参照ください。http://futatsumekusa.air-nifty.com/blog/2007/10/bat.html

投稿: 二つ目草 | 2013/05/28 17:58

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