雨の太宰府に「日本のやきもの」を楽しむ
昨日の台風一過の青空が夏の空でしたので、もう梅雨も一緒に明けてしまったのかと期待しましたが、梅雨明けはまだのようです。
今日は、九州国立博物館の「日本のやきもの」展に行ってきました。
第2回ぶろぐるぽに『未来への贈りもの』展の記事をエントリーして、第1回に引き続きペア招待券が当選したので、またまた夫婦での訪問です。
雨の朝の太宰府は人通りもまだ少なく、九博も開館時刻には人影まばらでした。
今回は強力な味方近距離対応双眼鏡PENTAX Papilio6.5x21がついに出番です。
会場が比較的空いていたこともあり、少し離れてやきものの姿を眺めたり、双眼鏡で細部を観察したりと、じっくり堪能できました。
この特別展は、この秋ポルトガルで日本の陶磁器を紹介する展覧会を開催するのに先立って、そこで展示される予定の作品を含む名品の数々を集めたもので、時代の流れにそって各地の陶磁器が網羅的に紹介されていて、私のやきもの入門にはもってこいでした。
以下の写真は九州国立博物館ぶろぐるぽにエントリーして提供されたものです。
九州にいると伊万里の名品はこれまでにも観る機会がありましたし、同じルーツを持つ小石原焼や上野焼などは窯元を訪ねたこともありました。
今回は、これらとは別の系統のやきものに接する機会が持て、「第3章 爆発-桃山の茶陶」、「第6章 風雅-都のやきもの 京焼き」、「第7章 独創-近現代のやきもの」では作品性の高いユニークな名品を楽しむことができました。
志野、織部の奔放なデザイン、本阿弥光悦作「雨雲」、尾形乾山作「色絵紅葉図透彫反鉢」の美しさ。
近現代の作品も、板谷波山や松井康成など、新しい手法によってやきものでこんなことができるのだと驚かされました。
それでも、やっぱりしっとりした染付けの伊万里は好いですなあ。
今度伊万里に行って小皿でも買ってこよう。
伊万里、鍋島の色絵の方は、私自身があまり好みではないこともあって、バランス的にちょっと多すぎる気がしましたが、海外で模倣された作品との比較は面白く、ポルトガルでの展示もぜひ成功することを祈っています。
ところで、今回はもう一つ目的がありました。
それは、4階、文化交流展示室に特別陳列されている「王塚装飾古墳出土品と北部九州の王たち」です。
先日の宮地嶽神社の訪問で、大和朝廷によって描かれた歴史物語の下に透けて見える九州古来の歴史を実感して以来、宗像シンポジウム『古代海人の謎』、古田武彦『古代史の未来』、内倉武久 『太宰府は日本の首都だった―理化学と「証言」が明かす古代史』など、立て続けに読み漁っていますが、それらの物証ともいえる展示の数々です。
九州王朝があったのかなかったのかはさておき、ここでは玄界灘沿岸の古墳群からの出土品だけでなく、王塚装飾古墳のバーチャル映像が必見です。
高松塚の壁画は誰でもおなじみですが、福岡にこんな美しい壁画を持つ古墳があったとは、地元でもどれだけの人が知っているでしょうか。
おまけですが、4階入り口左手のシアター4000の国内最高を誇る超高解像度映像もとてもきれいでした。
整理券をもらってぜひ観てみて下さい。
九州国立博物館第3回ぶろぐるぽにエントリー
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コメント
レポを読んでますます楽しみになりました。
特に桃山の茶陶はいまでも沢山の「写し」が
つくられていますが本物は初めてです。
8月5日に行く予定です。
投稿: himajiji | 2007/07/17 23:29
>himajijiさん
こちらで観る機会の多い伊万里は、ヨーロッパに輸出されたこともあって、食器セットとして組むためにきちっとした規格で作られているものが多いですが、桃山の茶陶は1つ1つ個性があって楽しめました。
今回は、3階の特別展だけでなく、4階の文化交流展示室の特別陳列もあってますので、お見逃しなく。
投稿: 二つ目草 | 2007/07/17 23:46
皆さん、九州にお住まいで、ほんとうにいいですねー!
九博について、二つ目さんの何度かのレポートを拝見して
改めて九博のスタッフの方がたの意気込みが伝わってきます。
先日京都の博物館を直接訪問したときには感じられなかった熱気が
間接的に拝見するこのブログから伝わってくるのは、もちろん
二つ目さんの思いが強いせいではありますが、それを差し引いても
意欲的な展示方針が魅力的です。
きっと、九州大好きスタッフが多いのでしょう。
古田先生の本、私も何冊か読みました。
なかなかじっくりと時間をとれない自分が歯がゆくなります。
投稿: 赤か毛 | 2007/07/23 20:26
>赤か毛さん
今回の「日本のやきもの」展は、今秋ポルトガルで開かれる展覧会で、日本の陶磁器を紹介するために集められたものが基本になっているので、やきものを網羅的に知ることができますし、日本を代表する名品に感動もしたのですが、展覧会の構成としてはちょっと淡白な印象でした。
その点、「海の神々」展や「未来への贈りもの」展のような、九博オリジナルの企画の方が、当時の有名無名の人々の思いと、九博のスタッフの熱意とが相まって、出品自体は地味な作品であるにも関わらず深い感動が得られました。
やはり太宰府という、九州にとっては古代からの特別な場所に作られた博物館ですから、内容がマッチすると「気」が沸き上がって生きた展示になる感じです。
今回、常設展で始まった「王塚装飾古墳出土品と北部九州の王たち」の展示に、そのような印象を持ちました。
投稿: 二つ目草 | 2007/07/23 23:08