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2007/11/11

他力本願 『本願寺展 親鸞と仏教伝来の道』を訪ねて

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太宰府に行ってきました。
太宰府天満宮は七五三の親子連れと菊花展の菊の数々で大変な賑わい。


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そういえば、この太宰府天満宮の季節ごとに色が変わるおみくじ「新日本様式100選」にも選ばれていました。
W杯の時のサムライブルーのおみくじだけは、もう勘弁して欲しいですが、今期のおみくじカラーは赤、オレンジ、黄の3種類あり、秋の彩り鮮やかという感じ。

「苦しいときの神頼み」ということか、学問の神さま天神様こと菅原道真公への合格祈願を兼ねて、修学旅行の高校生とおぼしき団体も来ていました。
このようなシチュエーションでは「そんな他力本願でどうする!」などとよく叱られたりするものですが、親鸞の教えによると、この「他力本願」という言葉の使い方はどうやら間違っていたようです。

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(以下、館内の写真はすべて「九州国立博物館」からご提供いただいております。)

ということで、今回の太宰府行きの目的は、九州国立博物館特別展『本願寺展 親鸞と仏教伝来の道』
前回の『日本のやきもの展』の記事『第3回ぶろぐるぽ』に投稿して、今回の特別展の招待状をいただいていたのですが、閉幕1週間前の今日、ようやく訪れることが出来ました。

さて、その仏教での「他力本願」の意味ですが、「他力」とは阿弥陀仏の力を指し、「本願」とはその阿弥陀仏が立てた「阿弥陀仏を信ずる者を必ず幸福にする。」という誓いを意味します。
親鸞の起こした浄土真宗は、この阿弥陀仏の誓い「他力本願」を絶対的に信じるというのが根本になるのだそうです。

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『第1章 親鸞聖人の事跡と信仰』では、親鸞の生い立ちを表した絵や、教えの元となった経などが展示されていました。

本願寺は、親鸞の死後、親鸞を祀るために作られましたが、その後、弟子たちの活動によって浄土真宗が普及するとともに社会的地位が高まります。

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『第2章 本願寺歴代の肖像と聖教』では、「善人なおもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」といった親鸞の教えを弟子が記した『歎異抄』の写本(重要文化財)など、弟子たちの仕事が展示されています。

そして、この展覧会の目玉は、『第3章 ゆかりの至宝 - 名筆・茶の湯・障壁画』
天皇家や公家・武家とのつながりから、社会的にも経済的にも力をつけた本願寺には、その時代の至宝の数々が寄進され、豪華な建築が作られていきます。

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色とりどりの和紙を組み合わせ、金銀をあしらった、美しい装丁の三十六人家集。

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左右に孔雀を配した見事な構図の絢爛豪華な襖絵。

ただ、この第3章については、浄土真宗の教義とは隔たりがあるように思えました。
これらを本願寺の社会的影響を示す資料とするのであれば、一方で、一向一揆や石山合戦など、庶民の信仰の力を集めて、戦国大名とさえ対立した宗教集団であったという側面についても展示があるとよかったのではないかと感じました。

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『第4章 大谷探検隊と仏教伝来の道』は、明治時代に本願寺第22代門主の大谷光瑞によって中国西域で行われた、仏教のルーツ探しの探検の成果が展示されています。
そこには、様々な言語で記された経典があり、見たこともない文字で書かれたある一片の経には、浄土教の起源となる教えが書かれているとありました。

この『本願寺展』は、テレビでもロック音楽を背景に若者向け風なCMが流されていましたが、美術鑑賞に留めずに、親鸞について少しでも勉強しようと望むと、なかなか難解な部分もあり、そう親しみやすいテーマという訳ではありませんでした。
それでも、前々回の『未来への贈りもの』展や福岡市立博物館での『鑑真和上展』での知識も合わせて、少しずつ仏教の歴史への興味が深まってきています。
次期特別展『京都五山 - 禅の文化展 - 』も楽しみですが、来年の元旦まで待たなければなりません。

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九州国立博物館「第4回ぶろぐるぽ」
にエントリー。

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コメント

う~ん、難しそうですね。

文化として神社仏閣を見て回るのは好きですが、その
教えを勉強しているかというと、これがサッパリなん
です・・。

私も「他力本願」とは困った時の神頼みだと思ってた
クチです。(^^ゞ

こういう展示はただ美術的な側面だけを見るに留めず、
その教えや時代背景など、じっくり学ぶのも良いこと
ですね。でもスケール大きすぎて、やっぱり難解かも
知れません(私には・・)。(^^ゞ

投稿: wanwanmaru | 2007/11/12 17:06

>wanwanmaruさん
今回の展覧会で目玉となる美術工芸品は、宗教とは関係ないものでしたが、一方で、歴代の高僧の肖像画や経文など、知識がなければありがたみが分からないものも展示してあり、どういう鑑賞の仕方をしようか戸惑いました。

「他力本願」は浄土真宗では重要なキーワードのようで、一般に我々が使う言葉とは全く意味が違うようです。
Wikipediaによると、
2002年5月、オリンパスコーポレーション(当時:オリンパス光学工業)が全国紙に「他力本願から抜け出そう」というコピーで広告を掲載した。それに対し浄土真宗各派が厳重抗議し、その結果オリンパス社は広告を撤回、謝罪するという事件があった。
のだそうです。

投稿: 二つ目草 | 2007/11/14 23:56

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