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2008/02/11

将軍さまと一休さん見つけた『京都五山 禅の文化展』

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昨日は、太宰府天満宮の飛び梅もちょうどよいに咲いた、うららかな日和でした。
九州国立博物館 第4回ぶろぐるぽの賞品で、これで4回連続となるペア招待券をいただいていましたので、
特別展 足利義満六百年御忌記念『京都五山 禅の文化展』を観に行きました。

元寇で疲弊した鎌倉幕府を倒し、政治を武家から朝廷に取り戻した後醍醐天皇でしたが、
武家軽視の政策に不満が高まり、足利尊氏らが反旗を翻します。
尊氏が反後醍醐派の光明天皇を即位させたため朝廷は南北朝に分裂、
尊氏自らは征夷大将軍となり室町幕府が成立します。

尊氏の孫の足利義満は、10歳にして3代目将軍となり、京都室町の豪華な「花の御所」に入って
政治を行います。
有力な大名を次々に潰し、南北朝も統一して地位を確固たるものとし、
さらに明との独占的な貿易を行って巨万の富も手に入れました。
将軍を子に譲り、出家して京都北山に移った後も、公家と武家両方の支配者として君臨し続け、
ここに公家・武家さらに中国の文化を融合した北山文化が生まれます。

というようなことを、前日に『まんが日本の歴史』などを読んで予習しておいたのは、かなり役立ちました。coldsweats01

 

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ところで、今朝はソウルにある韓国の国宝南大門が、おそらく放火による火災で焼失したという
ショッキングなニュースが飛び込んできました。
北山文化の象徴であった国宝金閣寺も、昭和25年、若い僧の放火によって焼失。
これを題材に、三島由紀夫の小説『金閣寺』が書かれました。
このときには、舎利殿金閣とともに、国宝足利義満像や仏像、仏典なども灰燼に帰しましたが、
修復のために屋根の上からはずされていたこの鳳凰像が、火災に遭わずに残りました。

 

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TVアニメ『一休さん』では「将軍さま」として登場する足利義満。
今回の特別展のポスターや教科書にも使われている有名な足利義満像は残念ながら
1月で展示が終わっていました。
富と名声を意のままにした義満ですが、非常に混乱していた政治をまとめ、
多方面での文化を花開かせた手腕はただ者ではありません。

「京都五山」とは、義満が創建した相国寺を含み、選定も行った京都の禅宗の寺ランキングベスト5と、
その上に別格として南禅寺を加えた6つの寺を指します。
今回の特別展では、ゆかりのある寺に伝わる仏画仏像、禅僧の肖像画、彫刻などが多数展示されています。
五山の高僧たちは、明との交流においては外交官的な役割も担っていたことから、
その交流の過程で水墨画や漢詩などの中国の文化も取り入れられていきました。

 

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禅の美術というと、仙がいや白隠のシンプルで自由な線で描かれる禅画をイメージしていたのですが、
今回の展示は、五山という幕府ともつながりの深い寺や僧侶であるせいか、
格調高く様式に則った作品が目立ちました。
禅宗は本来仏像を信仰の対象とはせず、悟りを開いた先達である師を重んじたので、
高僧の肖像画や彫像が多く残っているそうです。

そんな中で、崩れながらも気迫のこもったこの書が目を惹きました。
遺偈(ゆいげ)といい、高僧が死の直前に記した壮絶な墨跡だそうです。
英訳では"DEATH POEM"となっていました。

 

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禅を中国に伝えた禅宗の開祖、つまり師中の師であるインドの達磨はよく題材に取り上げられます。
この達磨図は墨谿(ぼっけい)筆、一休宗純(いっきゅうそうじゅん)賛とあり、
上の方の文字は一休さんが書いたものです。
一休さんも禅宗の高僧で、その父親は南北朝が統一されたときの天皇である後小松天皇だと
いわれていますから、もしかすると実際に将軍さまとも接点があったのかもしれませんが、
一休さんが生まれたときには義満はすでに将軍職を子に譲っているので、
「将軍さま」と呼ぶことはありえないのだそうです。
それに、仏教の権威を批判し、風狂に生きた一休さんは、京都五山とは異なる立場にいたのかもしれません。

 

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真の自己を探し、悟りに至る過程を、牛を捕まえにいく牧童の10の場面に例えた十牛図。
今から25年前、NHKテレビ市民大学で、ユング心理学者の河合隼雄が日本の神話を題材に
日本人の心理を読み解く、「日本人のこころ」という講座がありました。
とても面白く、そのテキストを未だに持っていて、このブログを書く折りにも、
度々引っ張り出してきて参考にしているのですが、その中の「自己実現の過程」を説明する回で
この十牛図が取り上げられていました。
今回、その実物に巡り会えたのは、とてもうれしい。

途中空白になっている「8.人牛倶忘」は、絶対的な「無」の境地を表していますが、
後世の仙がい作『円相図』にも繋がり、これぞ「禅」という感じです。
「無」に帰して終わるのではなく、その後に自然に戻る「9.返本還源」が来るという、
8から9の流れが、私は好きです。


九州国立博物館第5回『ぶろぐるぽ』
にエントリーしました。
掲載した館内の写真は、九州国立博物館からご提供いただいたものです。

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コメント

広島はこういう展示がなかなかなくって、
福岡がうらやましいです。

東風吹きましたか?

投稿: でぱいゆ | 2008/02/15 23:21

>でぱいゆさん
飛梅は他の梅よりも早めに咲くようで、
いつ来ても散った後だったのですが、
今回初めて咲いているところに遭遇できました。

きっと東風も吹いたのでしょう、
太宰府はいずれにしても春でしたsmile

投稿: 二つ目草 | 2008/02/17 01:46

コメントをありがとうございました
早速うかがいましたが盛りだくさんの記事ですね~!

何事も予習・復習は大切ですが
博物館などに行く時は特にそうですね~!
 (と言いつつも、いつも手抜きな僕ですが 苦笑
「ぶろぐるぽ」への投稿で招待券をもらえるって
面白そうですね

この博物館へは僕も3度ほど行きましたがなかなかいいですね
次回はこのルポにもトライしてみたいけど・・

知らなかったのですがリンク先にリストアップしていただいているようでありがとうございます
早速私のほうでもリンクを張らせていただきます
これからよろしくお願いいたします

投稿: hobasira | 2008/02/17 12:14

九州国立博物館、相変わらず意欲的で、魅力的な展示ですね。
それも、二つ目さんのレポートだから、そう思えるのでしょう。
やっぱり、ブログルポの入選常連になられるはずです!
近くにあればなー、といつも思って拝見しています。

最近思うのですが、二つ目さんの写真の後ろに流れる
二つ目さんの「思考」が、写真をより奥行きのあるものにしているのですね。
これからも、ナイスショットを楽しみにしています。

投稿: 赤か毛 | 2008/02/17 19:08

>hobasiraさん
ご来訪ありがとうございます。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。

ぶろぐるぽに参加するつもりでネタを探しながら観覧すると、
いつも何かしらの発見があります。
他の方のルポを読むと、楽しみも倍増です。
hobasiraさんもぜひ。

>赤か毛さん
昨年末、NHKの番組( http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/071204/index.html )で
九博で働く文化財修理技術者の方が取り上げられていました。
紙を素材とする文化財の修復にかけては、大英博物館にも招聘されるほどの実力者。
修復するための紙を自ら漉いて作ったり、当時のマーキング用のすじを消さないように修復したり、
そんな作業が展示室の裏では行われているのだなと思いながらの鑑賞でした。

最近なかなか撮影に出られないのですが、
インドアでネタを温めているところです。

投稿: 二つ目草 | 2008/02/17 21:48

昨年末の鈴木さんの番組、私も見ました。
実は愚息が、同様の仕事をしておりまして
(まだ駆け出しですが・・・)
家族みんなで見た次第です。
鈴木さんご自身の経験や技術もさることながら
将来を託すであろう部下の方との、修復方針の決定の仕方も
とても興味深かったです。

投稿: 赤か毛 | 2008/02/18 12:51

>赤か毛さん
息子さんが文化財の修復のようなお仕事をされているというのは、素晴らしいことですね。
分野はまったく異なりますが、私の仕事にも共通する部分が多く、興味深く見ていました。
「習熟するな」という言葉にはドキッとしましたが、
「そのつど新たな気持ちで臨み、常に考えながら手を動かす」姿勢に感心しました。
技術の伝承という部下とのやりとりも、自分の場合に当てはめてました。

投稿: 二つ目草 | 2008/02/20 23:40

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