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2010/01/24

意外に本格的だった『ロートレック・コネクション』展

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リバーウォークの北九州市立美術館分館で、
『ロートレック・コネクション』展を鑑賞。
本当は先に映画『アバター』のチケットを購入しておいて、
美術館の後に映画を観るつもりだったが、
『アバター』のほうはすでに満席だったので今回は諦めた。

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『ロートレック・コネクション』展が、
「コレクション」ではなく「コネクション」である意味に気付いていた。


お目当ての画家の作品の展示が少ししかなく、
その画家が影響を受けたり与えたりした、(あまり有名ではない)画家の作品ばかりで、
がっかりさせられる展覧会にしばしば遭遇する。
今回も実はそういった警戒をちょっとしながら入った。

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しかし、今回はいい意味で裏切られた。
ロートレックの「コネクション」の豪華なこと。
36歳の若さで亡くなったのにである。
ゴーギャン、ベルナール、マネ、ゴッホ、ドガ、ミュシャ。
そういった有名な画家たちの珍しい初期の作品なども観られた。

ロートレックの作品も、けっして少なくなく、
有名なポスター群はしっかり網羅した上に、
少年時代から画学生時代の初期の油彩や、
晩年、大人気の商業作品制作の傍らで、情熱を傾けて描いた娼婦たちの生きる姿などが、
展示されている。
今回の展示約120点のうちの半数がロートレック本人の作品だ。

複合商業施設の一角にある北九州市立美術館分館。
いつものライトな展示のつもりでいたが、意外に本格的。
このあと『アバター』を観るのであれば、時間がまったく足りないところだった。

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運良く学芸員の松原さんのギャラリートークが始まり、熱弁を聴くこともできた。
まだ若い女性の学芸員さんだったが、飽きさせないナイスな解説。

先祖が十字軍にも参加したという1000年の歴史を持つ名家の嫡男として生まれたこと。
絵の師匠が馬の絵の第一人者であり、また脚の障害が生じるまでは乗馬が得意だったことから、
少年期は馬の絵を多く残していること。

今回の目玉で代表作である大きなポスター『ムーラン・ルージュのラ・グリュ』は、
ロートレックとしては初めて作成したポスターだったこと。
ラ・グリュはカンカンを踊っている踊り子の名前で、食いしん坊の意味。
手前の黒い男は、「骨なしヴァランタン」と呼ばれた関節の柔らかいダンサーで、
タコ踊りが得意だったこと。
当時のムーラン・ルージュはワンフロアで、踊り手は観客と同じ床面で踊っていた。
ポスターでは、その観客の視線が再現されていること。
展示もそのフロアの雰囲気を味わえるように、広いホール状にしたそうだ。

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5階から4階に下りる。
華やかなモンマルトルからさらに奥の娼館街に進むように。

松原さんのお気に入りという『マルセル』
娼婦を描いた画家は他にもいたが、
その裸体ではなく、顔の表情を捉えたという希有な作品。
娼館に入り浸り、娼婦たちとの人としての関わりが持てるようになっていたからこそ描けたという。
少し寂しげながら凛とした表情をしている。
南仏アルビのトゥールーズ=ロートレック美術館収蔵の作品で、
今後の来日はなかなか難しいのだそうだ。

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ついでに、ドガ『マネとマネ夫人像』は北九州市立美術館収蔵の名品であり、
何故かマネ夫人の顔の部分が切り取られているというミステリーについても聞くことができた。

今年の北九州市立美術館は、本館・分館とも出足好調のようだ。

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コメント

ロートレック・コネクション展、こちら広島では2/13からひろしま美術館で開催されるそうです。
私は最初ロートレック・コレクション展だと思っていたので、気にしていなかったのですが、
こちらの記事を読んで「コネクション」だということを知り、更に内容も非常に面白そうだとわかり、ちょっと楽しみになってきました。
久しぶりにゆっくり絵画鑑賞したいです。

投稿: LOTUS | 2010/01/29 12:47

>LOTUSさん
お久しぶりです。
ここは、美術館の分館で、複合商業施設の一角にあるので、
ショッピングのついでに寄る客も多く、通常はもっと軽めの展覧会が多いのです。
今回もそんなつもりで入ったのですが、とても充実していて驚きました。

次がひろしま美術館だというのは、学芸員の方からも聞きました。
ドガの『マネとマネ夫人』という北九州美術館所蔵の作品は、
ドガが出来上がりをマネに見せたところ、マネは夫人の顔の描き方が気に入らなかったらしく、
そこを切り裂いてしまったというエピソードがあるそうです。
今回、東京展の期間は『マネとマネ夫人』は名古屋の方に行っていて出展されず、
北九州展と広島展のみで観られるということですから、ぜひこれもご覧になってください。

投稿: 二つ目草 | 2010/01/29 21:01

北九州の次は、ひろしま美術館で開催されます。
ぜひぜひ見に行ってみたいものです。
「マネとマネ夫人」は北九州美術館収蔵品なのですね。
そちらも楽しみです。

投稿: でぱいゆ | 2010/02/02 21:01

>でぱいゆさん
ロートレックは人物も作品も、親しみやすく面白い画家ですね。
気軽に観ることもできますし、じっくり深く知ることもできる展覧会になっています。
『マネとマネ夫人』、いつ、どのくらいの金額で買ったのかは知りませんが、
北九州市のお宝ですね。
ぜひ、楽しまれてください。

投稿: 二つ目草 | 2010/02/06 03:31

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