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2008/11/24

『美しき九州の旅』吉田初三郎展

Hatsusaburo


いのちのたび博物館『美しき九州の旅-「大正広重」初三郎がえがくモダン紀行-』に行ってきました。

吉田初三郎(1884-1955)の名前は知りませんでしたが、「初三郎式鳥瞰図」と呼ばれるパノラマ地図は、子どもの頃から何度か観る機会があり、その世界に魅了された覚えがあります。
今回の特別展では、生涯2000点以上の鳥瞰図を制作したとされる初三郎の作品の中から、北部九州のものを中心に、都市図や鉄道沿線図、観光図が数多く展示され、初三郎と九州の観光開発との関わりも解説されています。
幸いなことに、この展示の企画にも関わられ、作品の多くを所蔵されている初三郎研究家の益田啓一郎氏のギャラリートークにも参加でき、約1時間にわたって詳しい解説を受けながらの観覧となりました。
ギャラリートークは本当は30分間の予定でしたが、講師の解説に熱が入り、参加者からもいろいろな質問があって、とても有意義でした。

初三郎のパノラマ地図は、全国各地のものが作られています。
その地図のテーマとなる地域は中心に据えられて、ストリートビューのように細部にわたって描かれますが、そこから超広角レンズで覗いたようにグワッとデフォルメされた地図は、辺縁の方ではスペースシャトルから地球を見たように遠景が描かれます。
例えば「小倉市観光鳥瞰図」(昭和25年)では、画面中央には海から見た詳細な小倉の街が描かれますが、その奥から右端にかけては、遠く九州全域が見渡せ、さらに左手から奥に至っては、関門海峡から瀬戸内海、東海道の富士山まで見えています。
現代の我々が見ても、イマジネーションが膨らむ地図となっていますが、空撮や宇宙からの映像の経験のない当時の人たちにとって、この視線は大変魅力的であったはずです。
今なら地図データをコンピューターで3D処理して作るのでしょうけれど、あの時代に、初三郎はどうやって鳥瞰図をつくることができたのか、講師の益田さんにお伺いしたところ、後期には地形図を利用したようだけれど、基本的には現地に赴いて描いたスケッチを元に、それが上空から見たらどうなるのか初三郎の頭の中で描かれたイメージを、鳥瞰図として具現化しているのだそうです。
ご回答のなかで、「まぼろしの邪馬台国」で宮崎康平氏と歩かれた奥様から益田さんが直接聞かれたお話として、その奥様も、各地を歩くうち地形図を見るだけで鳥瞰図として地形を思い浮かべることができるようになったというエピソードも紹介いただきました。
益田さんもご自身で鳥瞰図を作成したことがあるとおっしゃっていましたが、そういえば私もQuickTimeヴァーチャルリアリティを利用したパノラマ写真を作ったことがありました。

今回の展示では、いくつかの原画も出品されていましたが、絹に岩絵の具という日本画の手法に、アクリル絵の具やポスターカラーなども使われ、幅は3mを越えるものもあって意外に大作です。
依頼主のところで額装されて飾られていることも多かったようで、日焼けしてしまっているものもありましたが、「若松市鳥瞰図」(昭和8年)などは、巻かれて保管されていたため保存状態がよく、鮮やかな海の青や淡い遠景のグラデーションが残っていて、美術品としての価値も感じられました。
今回、事前にJun Rajiniさんのブログ『福岡発アジア映画行き』の記事「吉田初三郎さんのパノラマ地図、ご存じですか。」
を読んで、ギャラリー用双眼鏡も持参していましたので、初三郎ワールドに足を踏み入れる感覚で、「若松市鳥瞰図」を覗くと、若松バンドや若松駅の石炭積み出し場など戦前の若松をそぞろ歩くことができました。

外国人にとっての日本のイメージ「フジヤマ・サクラ・ゲイシャガール」の元となったのが初三郎が鉄道省国際観光局の依頼で作られた観光ポスターであったり、別府温泉や菊池渓谷の観光開発に関わったり、そもそも「観光」という言葉自体、初三郎によって広まったということも知りました。
資料収集の旅を絵巻物風の絵日記として記録に残していますが、これも今ならブログとして人気を呼びそうなものでした。

1,200円の図録も買って帰りました。
サイズの関係で、地図の細かな部分までは読み取れませんが、これもどのページを見ても楽しく、これから何度も繰り返し眺めることになりそうで、お買い得です。
この特別展は、残念ながら次の日曜で終了です。
お急ぎください。

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2008/08/23

The 4th anniversary

デジカメによるモノクロ写真の愉しみ
デジカメによるモノクロ写真の愉しみ

2004/08/21 PENTAX Optio S

取り残された風景
取り残された風景

2004/08/22 PENTAX Optio S

この8月21日でブログ開設から4年を迎えました。
この間32万ページビューを超える多くのアクセスをいただきました。
皆様に感謝申し上げます。

入門書を片手に、練習のつもりで始めたブログが、ここまで続くとは思いませんでしたが、
今日は、これまでの写真を見ながら、振り返ってみることにしました。
(写真をクリックすると、当時の記事に飛ぶようにしてあります。)

最初はPENTAXの初代OptioSという小さなデジカメ1台で撮っていました。
4年を経て機材は充実したものの、最初の2日間にアップしているこの2枚の写真から、
写真の腕はいったいどれだけ上達したでしょうか。


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2007/10/31

蝙蝠マーク

Caltex
「取り残された風景」より

一昨日の記事で、3年前のある記事へのアクセスが急増した件を書きましたが、標的となったのはこの写真。

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2007/10/08

Zorgの注目のフォトに選ばれる

Arao03_21mmf7.1


Zorgという、「デジタル写真を投稿・共有して楽しむことが出来るSNS型写真共有サイト」に登録していて、時々ブログに載せた写真を投稿しているのですが、先日の万田坑の写真が、今日の注目のフォトに選ばれました。
会員同士での評価を、毎日項目別に集計して、その日の注目写真がピックアップされるのですが、「お気に入り」部門の15番目「クール」部門の6番目「クリエイティブ」部門の7番目「ユニーク」部門の14番目に入れてもらいました。
「お気に入り」部門にランクインしたことで、今日はサイトのトップページに写真が出ています。

私がブログに載せている写真は、記事の補足的なものであったり、数枚組んでようやく状況が説明されるようなものが多く、なかなか1枚で訴えられる写真が撮れていませんが、今回の写真は私の中でも気に入ったものでしたので、他の人からも評価を受けたことを素直に喜んでいます。
今後も、まずは自分なりに納得のできる写真が撮れるよう、続けていきたいと思っています。

追記
9日には「お気に入り」で6番、「クール」「クリエイティブ」で4番、「ユニーク」で6番まで上がりました。
ご評価いただいた皆さま、ありがとうございました。

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2007/08/21

ブログ開設3周年 

0821

今日でブログ開設から3年になりました。
その間にアップした記事数は約300件。
約24万ページビューという多くのアクセスをいただきました。
どうもありがとうございました。

とても個人的な、写真練習帖のような感覚で始めたブログですが、
最近は北部九州の歴史覚え書きと化し、地味路線にハマりつつあります。

4年目に入ってどうするか、具体的な構想はありませんが、
引き続き北部九州の魅力を探していきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。


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2007/07/15

さだ回帰

多情仏心1


さだまさしのファンであると公言することを、「カミングアウト」と言うそうです。
まるで虐げられた、隠れキリシタンのような...。

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2007/05/05

なんじゃもんじゃと雨のこどもの日

Nanjamonja01

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2007/04/07

2つの贈りもの

Gps

4月中旬まで仕事が立て込んでいて撮影に出られません。
そんな中届いた、二つの「贈りもの」

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2007/03/22

ちょっと感じた不自由

Net

その1
ココログが今日バージョンアップをしたそうです。

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2007/01/27

20万アクセスをいただきました

Happy_1

2004年8月21日にブログを開設してから、本日で20万アクセス(ページビュー)を超えました。
日頃よりご来訪いただいている皆様に厚く御礼申し上げます。
ページビューとは、一人の方が別のページをご覧になるたびにカウントが加わるというものです。
これはありがたいことなのですが、当ブログでは、1回のご来訪でいくつかの記事を見ていかれる方が比較的多いようです。
その分、実際に来られたお客様の数に比べてアクセス数が多くなっているわけですが、改めて計算すると、1つの記事あたり平均およそ780回ものアクセスということになり、感謝と同時に冷や汗も若干沸いてくる心地です。

検索サイトからお見えになる方も多いのですが、必ずしも適当なページに到達されていないようですので、これまでの記事を目次として整理し、「二つ目草の写真帖」ガイドとしてアップしてみました。

今後も、これまでのテーマを追っていくとともに、新しい分野、視点も開拓していきたいと思っています。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

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